勉強のヒント

●作業と勉強

机には向かっているけれど、成績が伸びない人がいます。その一因として、「作業」をしているだけで「勉強」になっていないということがあります。「作業」と「勉強」は違います。例えば、単語ノートを作ることは「作業」で、それを頭に入れることが「勉強」です。学校のワークをやっていても、答えを見ながら機械的に埋めているだけでは「作業」をやっているだけです。問題を解きながら、自分のわかっていなかったところや理解があいまいなところを見つけ出し、クリアにすることが「勉強」です。また「作業」には机と筆記用具が必要ですが、「勉強」はベッドやトイレなど、どこでもできます。むしろ暗記は、机以外の場所で、スキマ時間にでもやるほうがリラックスできて、よく頭に入ったりします。やっていることが「勉強」なのか「作業」なのか意識してみるといいかもしれません。                     

●インプットとアウトプットの学習 

学習内容を頭に入れること(覚えること)がインプット、頭に入れた学習内容を引き出すこと(問題演習)がアウトプットの学習です。「教科書を読む」「ノートをまとめたりする」といったインプットの学習だけでは、学習内容が頭に定着しているか確認できておらず、テストでは点数が伸びません。学習効果を上げるためには、インプットした知識を引き出すアウトプットの学習も必要です。問題を解くなどのアウトプットによって定着していない知識を見いだし、それをまたインプットし、アウトプットと繰り返す。このことによって、しっかりとした知識が頭にたたき込まれ、テストでも失点しないようになっていきます。          

●教材

小中学生の日々の教材は、基礎を固めたい人は、参考書は字が大きくてわかりやすいもの、問題集は教科書準拠で、薄くてすぐやり終えられそうなものを選ぶほうが無難です。それで、ものたらないと感じたら、また別の教材を買えばよいのです。訪問販売などで、5教科3年間セットで何十万という高額な教材を売るような業者もありますが、ほとんど手つかずで、お金の無駄になることが多いようです。教材は最初からたくさん揃えるよりも、必要に応じて買っていくほうがよいでしょう。なお当塾で学習して頂く場合には、必要な教材は塾でお渡ししますので、特に市販の教材を買って頂く必要はありません。     

●勉強をやる気にさせるには

「アメとムチ」という方法があります。「ムチ」は、出来ないと強く叱る、膨大な宿題を出すなどのスパルタ式の教育です。これは一時的には大きな効果をもたらすこともありますが、人から強制され、やらされている勉強なので、長続きはしません。また勉強が不快なものと脳に刷り込まれてしまうと、勉強嫌いになってしまいます。「アメ」は、「いい点とったら欲しいものを買ってあげる」といったことで、効果てきめんのこともあります。ベストセラーになった「学力の経済学」でも、ムチを与えるより、こちらを推奨しています。しかし「アメ」も慣れっこになって、当たり前のこととなってしまうと、効果が薄くなってきます。勉強の動機づけの王道は、人間が本来持っている学びたいという欲求を引き出すことです。フィンランドでは、自然観察等を通し、子どもたちに科学的なものの見方を養うような教育を行っています。「なぜ?」というという疑問に持たせ、その理由や原因をつきとめさせようとします。子どもたちは、本などを使って調べものをしていくうち、自然と読書の習慣も身につきます。フィンランドの子どもの学力は、現在世界一とのことです。  
                              

●学習環境を整える

最近、自分の勉強部屋にこもるより、人の目がある居間で勉強するほうが、成績が伸びるとの話が注目されました。中学生ぐらいまでは、保護者がある程度、子どもの勉強を管理することも必要でしょう。また勉強する場所の周囲に、スマホ・テレビ・雑誌など、勉強の集中の妨げになるものを置かないことも留意したいものです。私自身も資格試験の勉強で、自分の部屋より、余計なものがない塾の教室や人の目のある図書館のほうが、勉強がはかどりました。娯楽の誘惑の多いこの時代、集中して勉強ができる学習環境を整えることは、意外と難しい問題なのかもしれません。 

●スマホやタブレットでの学習
                           
「スマホ脳」という本がベストセラーになっています。スマホを長くやっていると、集中力の
低下、睡眠障害、孤独感が増す、子どもの自制心の発達に悪影響などの害があるとの
ことです。また手からスマホを放すことができなくなるギャンブルのような依存性も指摘
されています。アップルの創始者でiフォンの開発者スティーブ・ジョブズもその弊害に
気づいており、自分の子どもにはスマホの使用時間に厳しく制限をくわえていたとのこと
です。スマホやタブレットを使った学習は目新しく、利便性のほうに目が行きがちですが、
つい勉強以外の目的に使ってしまってしまうワナが怖いところです。